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SHOOTING — 2026.08.24 — 11 MIN READ

ポートレートの撮り方完全ガイド——設定・構図・声かけ

TEXT — THE PORTRAIT EDITORIAL

ポートレートの撮り方完全ガイド——設定・構図・声かけ

人物写真がうまく撮れない——その原因は、たいてい同じ3か所のどれかにあります。露出設定が被写体向きでない、光の方向を見ていない、そして被写体が緊張している。 機材の問題であることは、実はそれほど多くありません。

この記事では、ポートレート撮影を実際の手順どおりに追いかけます。上から順に試せば、一枚の質は確実に上がります。

1. カメラ設定——まずここを決める

F値(絞り)は F2.8〜F4 から

背景をぼかしたい気持ちから、いきなり開放(F1.4など)にする人が多いのですが、最初はF2.8〜F4をおすすめします。

理由は単純で、開放付近はピントの合う範囲が数センチしかなく、片目に合わせるともう片方の目が外れるほどシビアだからです。歩留まりが極端に落ちます。

  • F1.4〜F2.0 — 背景が大きくとろけるが、失敗も増える。慣れてから
  • F2.8〜F4 — 顔全体にピントが来て、背景も十分ぼける。実用域
  • F5.6〜F8 — 全身や複数人。背景の情報も見せたいとき

シャッター速度は「1/125秒」を下限に

手ブレより先に疑うべきは被写体ブレです。人は静止しているつもりでも常に微動しています。

  • 立ちポーズ中心なら 1/125秒以上
  • 動きのあるカット、歩いてもらうなら 1/250秒以上

暗くて速度が落ちるときは、迷わずISOを上げます。ノイズの乗った写真は救えますが、ブレた写真は救えません。

ISOは「上げていい」

最新のカメラであればISO3200〜6400は十分実用範囲です。ISOを低く保つことより、適正な明るさとシャッター速度を確保するほうが優先されます。

モードはAvかM

絞り優先(Av/A)で撮り、露出補正で明るさを調整するのが最も速い運用です。光が一定の室内やスタジオでは、マニュアル(M)で固定してしまうと露出がばらつかず、あとの現像が楽になります。

2. ピント——瞳に合わせる

ポートレートのピントは、原則としてカメラに近いほうの目に合わせます。 人は写真を見るとき、無意識に目を最初に見るためです。目が甘いと、他がどれだけ良くても写真全体がぼやけて見えます。

現行のミラーレスであれば、瞳AF(アイAF)を有効にしておけば大半は解決します。オンにしておかない理由がありません。

横顔や斜めの角度でも、手前の目が基準です。

人物写真は、まず手前の目にピントを置く

3. 構図——三分割から始めて、すぐ疑う

最初の指針としては三分割構図(画面を9分割し、交点に目を置く)が有効です。ただしこれは補助輪であって、正解ではありません。

意識しておきたいのは次の3点です。

  • 視線の先に空間を空ける — 被写体が向いている方向に余白を作ると自然に見える。逆に詰めると圧迫感や緊張感が出る(意図的に使う分には有効)
  • 関節で切らない — 手首・肘・膝のちょうど真上でフレームを切ると、切断されたように見える。切るなら関節と関節の中間で
  • 頭上を空けすぎない — 初心者に最も多い失敗。人物の上に無意味な空間ができ、主題が小さく見える

構図をもう一段深く掘りたい方は構図の迷いは「三分割」を捨てると消えるをどうぞ。

4. 光を読む——立ち位置を変えるだけで変わる

設定を詰める前に、光がどこから来ているかを確認してください。

最も簡単で効果が大きいのは、被写体を窓に対して斜め45度に立たせることです。正面から光を当てると平坦になり、真横だと影が強すぎる。その中間に、顔が立体的に見える位置があります。

屋外の晴天時は、直射日光を避けて日陰に入れるだけで肌の階調が一気に整います。ビルの影、木陰、建物の北側——探す価値があります。

光の扱いは奥が深いので、ポートレートライティング入門に基本パターンをまとめています。

5. ポーズ——「自然にして」は最悪の指示

撮られ慣れていない人に「自然にしてください」と言うと、まず固まります。自然とは何をすればいいのか分からないからです。

指示は具体的な動作に分解します。

  • 手の置き場を決める — ポケットに入れる、髪に触れる、腕を組む。手が余ると人は不安になる
  • 重心を片足に乗せてもらう — 両足均等の直立は硬く見える。片方に体重を預けるだけで曲線が生まれる
  • 顎を少し前に出す — フェイスラインが締まる。「前に出す」であって「上げる」ではない
  • 動きの終わりを撮る — 「歩いてきて、こっちを見て」のように動作を指示し、その終点を狙う。静止ポーズより表情が緩む

撮る側が先にやってみせる

言葉で伝わらないときは、自分がその場でやってみせるのが最短です。多少不格好でも構いません。撮る側が動くと、相手の緊張も緩みます。

6. 声かけ——写真を決める最後の変数

技術的に完璧でも、被写体が硬ければ良いポートレートにはなりません。ここが最も効きます。

  • 最初の10枚は捨てる前提で撮る — シャッター音に慣れてもらう時間。この間に緊張が抜ける
  • 撮ったらすぐ見せる — 「今のいいですね」と実物を見せると、相手は自分の写り方を掴んで自信を持つ
  • 無言で撮り続けない — 沈黙は「うまくいっていない」というサインとして受け取られる。何か話しながら撮る
  • 具体的にほめる — 「いいですね」より「今の目線すごく良かったです」。具体性がある言葉は信じてもらえる

ポートレートとはでも触れたとおり、ポートレートは共同作業です。相手が「うまく撮ってもらえている」と感じた瞬間から、表情は明らかに変わります。

7. 撮影後——選ぶところまでが撮影

撮ったカットを全部渡すのは親切ではありません。目をつぶっている、口が半端に開いている、手が不自然——こうしたカットが混ざると、良いカットの印象まで下がります。

100枚撮って、渡すのは10枚。選び抜くことも撮影の一部です。

まとめ

  • F2.8〜F4、シャッター速度1/125秒以上、ISOは必要なら上げる
  • ピントは手前の目。瞳AFは必ずオン
  • 頭上を空けすぎない。関節でフレームを切らない
  • 窓に対して斜め45度に立たせるだけで立体感が出る
  • 「自然にして」ではなく、手・重心・顎を具体的に指示する
  • 最初の10枚は捨てる前提。撮ったらすぐ見せる

設定と構図は練習でどうにでもなりますが、光だけは環境に左右されます。安定した光で反復練習したい方は、白ホリスタジオでのポートレート撮影術もあわせてどうぞ。

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